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 前払い型退職金制度とは、既存の退職金制度を廃止し、今後は相当額を手当として給与に上乗せして支給する制度です。かつて松下電器が福利厚生や退職金制度を廃止し、その相当額を賞与に上乗せする「全額給与支払い型」社員制度を導入して以来、リクルート、ユニチャーム、三越など多くの企業で既存の制度を廃止し、前払いに移行する事例が見られています。

前払い型退職金制度概要
 従来の退職金制度に基づく「既得権」は保証した上で、今後については退職金制度を廃止して、その相当額を手当として毎月の給与に上乗せして支給します。これにより貢献度の後払い(Pay Later)である退職金を、現在の貢献度を現時点で短期決済すること(Pay Now)を目的としています。これは近年、中小企業にも広がりを見せている成果主義に基づく報酬制度の基本的な発想である「適切な評価を行い、貢献度の高い者に対し、それに見合った報酬をB>いま支給していこう」という考えにもフィットするため、今後中堅中小企業にも徐々に普及していくことでしょう。

 さてこの手当(前払い)額の設定については、基本的には中退共利用確定拠出型退職金制度と同様に、以下のいずれかの方法で設定することが通常です。
1)定額(全員一律)
 全員一律で掛金を設定します。結果としては給与の一律ベースアップとなります。
2)等級(役位)別設定
 在職中の貢献度に見合った額を支給する場合には、以下の表のように等級別に支給額を設定します。なお通常はこの等級(役位)別設定を行なうことが多いでしょう。
等級 前払月額
J2 5,000円/月
J1 8,000円/月
S2 10,000円/月
S1 14,000円/月
M 20,000円/月

 既得権額を保証し、今後については等級別で金額を設定し、支出するという点では中退共利用確定拠出型退職金制度とまったく同じであると言えます。異なるのは中退共利用確定拠出型退職金制度がその金額を掛金として中退共に払い込み、実際の退職時にまとまった金額の退職金として支給されるのに対し、前払いはその金額を毎月手当として本人の給与口座に振り込み、毎月短期決済していくという点にあります。

 また実際の導入事例においては、この前払い制度と確定拠出年金制度の選択制や、個人型の確定拠出型年金の紹介などを行なっているケースが多く見られます。

この制度のメリット
  1. 現在の貢献度を後払いではなく、いま短期決済し、貢献度に見合った給与支給を行なうことができる。
  2. 確定給付型の退職金制度ではないため、将来の運用リスクがない。
  3. 柔軟な組織制度や雇用制度を採用している企業にとっては、その異動の制約が少なくなる。
この制度のデメリット
  1. 所得税や社会保険料の対象となる。(※)
  2. 「退職金制度なし」という会社になるため、ある程度採用活動におけるマイナスが懸念される。
  3. 通常は毎月の支払額は増加するため、キャッシュフローの面ではマイナスになる。
※[参考]いわゆる退職金の前払いに係る社会保険料の取扱いについて(平成15年10月1日保保発第1001002号)[pdf]


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